オフィスとは違う彼の裏の顔
初めての…

会社



「松本さん、ここ間違ってるよ、やり直し」

そう言いながら、部下の松本さんに提出されていた書類を渡す。


少しおぼつきながらも、私のデスクに歩いてくる。
書類を渡し、もう一度どこに不備があるのかを説明する。


「わかりました。」

松本さんは指摘された箇所を直すため、自分のデスクへと戻っていく。

それを見届けて、提出されている次の書類に目を通す。



はぁ…
デスク仕事って肩が凝るのよね

いつもなら営業に行ってる時間帯なんだけど、今月はうちの課の課長が長期出張中で、代わりに主任の私が課長代理をしている。


代理だから、たまに外回りに行ったりはしている。


ん?

「ちょっと金木くん?こっちに来て」


目を通していた書類を作成した金木くんを呼び出す。


「はい、なんですか主任?」

「ここ、いつもと同じ間違えをしているわよ。何度同じ間違えをするつもり?」


「え、本当ですか⁈」

金木くんは私の持っている書類を覗き込む。

フワッと彼の付けている男物の香水の匂いが、私の鼻を通り抜ける。

だらしなく着崩したスーツ。

ネクタイは襟元で止まっていない。



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