オフィスとは違う彼の裏の顔
家に着き、買ってきたものを袋から出し、芳香剤は玄関、トイレ、寝室、リビングに分けて置いた。
新の食器類も食器棚に直した。
「今日はいろいろあったね」
「そうですね、ある意味」
少し間が空いてから返事が来る。
「ごめんなさい。彼とは連絡なんて取ってないし、もちろん電話がきたとしても出る気はないわ」
ソファに隣同士で座り、お互いの顔は見ず、まっすぐ前を見ながら新に言う。
「うん、分かってる」
「だから新も…」
“連絡は取らないで”
そう言おうと思い、新の方を向くと
ぎゅっ
「当たり前だよ」
耳元でいつもより力強い新の声が聞こえる。
「俺は南央さんを悲しませるようなことは絶対にしない、したくない」