オフィスとは違う彼の裏の顔
「あ、コーヒーでお願いします」
ホットでいいかしら?
というお母さんの言葉に、「はい」と答える。
「南央もコーヒーよね」
「うん」
当たり前のように、私の好みを覚えていてくれた。
お母さんは3人分のコーヒーをドリップし始める。
お母さんは紅茶派。
お父さんはコーヒー派。
これでいつも朝は喧嘩をよくしていた。
ピピピっ
とコーヒーがドリップし終えたアラームが鳴る。
お母さんがティーカップにコーヒーを淹れ、私たちの前に運んでくれる。
その間、私たちは一言も話をしなかった。
「お兄ちゃんたち遅いわね。お兄ちゃんたち待たないで色々お話をしましょうか」
時計を見たお母さんは、早く聞きたいとばかりに身体を前のめりする。