オフィスとは違う彼の裏の顔
一瞬頭が思考停止したが、すぐに現状を理解した。
ガバッと布団を持ち上げ、ベッドから降りダッシュで洗面所に。
「なんでもっと早く起こしてくれなかったのよー」
「だって南央がすごく気持ち良さそうにして寝てたから起こすのも申し訳なくってさ、ギリギリまで寝かしてあげようと思ったんだよ」
「今日は新のご両親に挨拶に行くから、完璧に仕上げていこうと思ってたのに」
「うん。僕のためにありがとう」
チュッ
顔を洗い終わった私の唇に新は不意にキスを落とした。
いきなりのことだったため、ビックリして急いで顔をタオルで覆い隠す。
「からかってるでしょ」
「ううん、南央が可愛いから」
不意にこういうことを言われるとなんで言い返せばいいのか分からなくなってしまう。
「あ、ありがとう」
未だにこう返すのが精一杯だ。