オフィスとは違う彼の裏の顔
「金木くん、これお願いできる?」
「はい、わかりました」
「金木くん、ここ、やり直し」
「わかりました」
「金木くん、後で在庫の確認お願い」
「これ終わったら確認しておきます」
はぁ…なぜか今日は金木くんに頼むような仕事ばっかり
まだ1つ残ってるんだよね
さっき確認してもらった在庫、少し探したい物があるから、男手がほしい
何人か女性スタッフに声をかけてもいいんだけど、でもこういうのは男の人に任せた方が楽なのよね
「南…主任、終わりました」
今、南央さんって呼ぼうとしたわね
会社で名前を呼ぶ人は、金木くんと文ちゃんくらい。
しかも金木くんに関しては、なぜ私のことを名前で呼ぶようになったのかわからずじまい
「ありがとう。これで今日の分は終わりかしら」
少し怒ったような表情をわざとして、名前を呼びかけたことを咎める
「は、はい。終わりました」
それが伝わったのか、金木くんも言葉をつまらせる。
「それじゃあさっき確認してもらった在庫あるでしょ?一つ探してほしい物があるの」
「何ですか?」
コレよ、と探してほしい物の書いてある紙を渡す。