オフィスとは違う彼の裏の顔
ぱしッ
私の手は金木くんの頬をはたき、乾いた音が響く。
「どうして1人で解決しようとするの?私はあなたの上司でしょ。少しはたよんなさいよ。
別に私は迷惑かけられてもいいよ。迷惑も嫌だったら、あなたのことはとっくに拒絶していたわ」
ぐっと溢れそうになる涙を堪える。
「南央さんは、俺に抱かれても嫌じゃなかった?」
「嫌ならとっくに逃げてるわよ。それに2回もさせないわ」
「南央さん、俺は南央さんが好き」
好き、という2文字に、また心が跳ねる。
彼と繋がっている時にも何度も繰り返されたその言葉
「私も金木くんのこと好き」
それを口にするのは少し恥ずかしかった。
「ホント?ホントにホント?」
私の手を両手で握り締める。
「ええ、」
恥ずかしさのあまり下を向いてしまった。
「顔上げて、目を見て言って」
両手で頬を持ち、顔を無理やり上げられる。
「好き」
そう言った瞬間、自分の顔が真っ赤に燃え上がるのと同時に、彼の唇が私の唇に覆いかぶさる。
優しく、壊れ物を扱うように。