オフィスとは違う彼の裏の顔
「楽しかったね」
アトラクションが停止する前に手を離す。
「そうね」
「次はどれに乗ろっか?」
次々とアトラクションに乗り込み、遊園地を堪能する。
お昼ごろになると、園内にある飲食店や出店は人だかりができてる。
なるべくそれを避けるため、時間のかかるであろう、お化け屋敷に入ることになった。
「南央さんはお化け屋敷大丈夫?」
入り口手前で、前の人がある程度進むのを待つ。
「多少わね…」
なんて返事をしてしまったが、実はお化け屋敷は大の苦手。
人が作っていると分かっていても、急にゾンビみたいなのが現れるとビックリしてしまう。
「怖くなったら、僕の手でも握ってね」
優しく私をエスコートするかのように、1歩ほど前を歩いてくれる。
手を握りたい
でもそんな勇気はない
勇気を振り絞り、服の裾を摘んだ。