オフィスとは違う彼の裏の顔
「うん」
摘んだことに気がついた金木くんは、振り向き、優しく微笑んでくれた。
徐々に足を進め、絶対にお化けが脅かしてくるであろうポイントにたどり着く。
簡単に説明すると、このお化け屋敷は、悪事を働く幽霊を成仏させるという設定。
はぁ…絶対に出てくるよ…
ビビりながらも、金木くんの背中を追う。
「かね…」
バンッ
「きゃぁぁ!」
“金木くん”と名前を呼ぼうとした瞬間、大きな音がして、驚いて大きな悲鳴を上げてしまった。
それと同時に金木くんの腕にしがみつき、ギュッと強く腕を回す。
「大丈夫だよ、南央さん」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
それになんだか安心を覚えた。
「やっぱり南央さん、怖いのダメなんだね」
ギクっ…
「まあ、初めからバレバレだったよ。俺の服持つ前からずっと震えてるし」
あはははっと笑う金木くんだが、私はそれどころじゃない
わかっていたなら、初めから入らないという選択肢もあったはずだ。