恋のリードは 彼女から!
「ね、ママ、この間のお見合いなんだけど。」
温子はリビングのソファに座って雑誌をめくっている母親に声をかけた。
「あれは破談よ。」
思い出したくないのか口調が暗かった。
「どういう知り合いだったの?パパの会社関係かと思っていたから。」
温子は母の隣に座った。
「もうご縁がなかったと思うしかないわね。」
「そのご縁って?」
「なんでもパパの曽祖父にあたる方と、先方の大おばあ様が昔駆け落ちしたのを引き裂かれて、連れ戻されたという話なのよ。格が違うからという昔の華族階級の偏見よ。」
「でも、それがどうしてご縁なの?」
温子は大おばあ様の強いしがらみのようなものをあわれんだ。
「つまり、代替わりした際に年回りがちょうどいい世代に、その時の身代わりを立てると約束したらしいわ。」
「ということは、私と先方の次男さんにその矢が当たったというわけね。」
「そうなのよ。無理なことだとは思ったけど。」
「ふ~ん、わかった。」
温子は自分の部屋へ戻って考えた。
身代わりうんぬんはわきに置いて
「なんてロマンチックな恋なのかしら。」
時が経っても忘れられない想いがあることにうらやましいとさえ思った。
「そうだったのか、大おばあ様に会ってみたいな。」
温子はリビングのソファに座って雑誌をめくっている母親に声をかけた。
「あれは破談よ。」
思い出したくないのか口調が暗かった。
「どういう知り合いだったの?パパの会社関係かと思っていたから。」
温子は母の隣に座った。
「もうご縁がなかったと思うしかないわね。」
「そのご縁って?」
「なんでもパパの曽祖父にあたる方と、先方の大おばあ様が昔駆け落ちしたのを引き裂かれて、連れ戻されたという話なのよ。格が違うからという昔の華族階級の偏見よ。」
「でも、それがどうしてご縁なの?」
温子は大おばあ様の強いしがらみのようなものをあわれんだ。
「つまり、代替わりした際に年回りがちょうどいい世代に、その時の身代わりを立てると約束したらしいわ。」
「ということは、私と先方の次男さんにその矢が当たったというわけね。」
「そうなのよ。無理なことだとは思ったけど。」
「ふ~ん、わかった。」
温子は自分の部屋へ戻って考えた。
身代わりうんぬんはわきに置いて
「なんてロマンチックな恋なのかしら。」
時が経っても忘れられない想いがあることにうらやましいとさえ思った。
「そうだったのか、大おばあ様に会ってみたいな。」