心がわり
私と光司は 1年以上 同じサークルにいたのに
お互いに 個人的なことは 何も知らなかった。
「まどかって 自宅生なの?」
デートの帰り道 家まで 送ってくれた光司。
「うん。ずっと東京。光司は?」
「俺は 静岡。だから 今は 1人暮らし。」
そう言って 光司は ニコっと笑った。
「んっ?なあに 今の笑顔は。」
私は 繋いだ手を ギュッと握る。
「ヘヘッ。俺 悪魔の微笑みだった?」
光司は 少し照れた顔をする。
「うん。なんか悪いこと 企んでる顔。」
「えー。まどか 考え過ぎ。今度 俺の部屋に 招待するね。」
「もしかして 掃除とか 料理とか 期待してるでしょう?」
初めてのデートなのに
私は 驚くほど 自然体で。
駅を出て 家まで光司と歩く。
住み慣れた街は 妙に くすぐったかった。