心がわり
秋になって 光司は 少しずつ 就活を始めた。
私は よく 光司の部屋で スーツにアイロンをかけた。
「まどか。サンキュー。内定もらったら どっか行こうな。」
光司の 就職が 決まることを 願いながら
2人の環境が 変わることが 私は とても怖かった。
「私も 光司と一緒に 卒業したいな。」
「あっ。俺が まどかに合わせて 留年するっていうのは?」
光司も 怖かったのかもしれない。
私達は とても うまくいっていたから。
その関係を 壊したくないと 思っていた。
お互いに……
もしかしたら 私達は 知っていたのかもしれない。
絶妙のバランスで 成り立っている恋は
1つでも ズレれば 崩れてしまうことを。
私達は 今 幸せの絶頂にいる。
ここから先は 下り坂。
この絶頂を 維持したいけど。
私達は あまりにも子供で。
すべてが 足りていないことに 気付けなかった。