心がわり
台湾から 帰ってくると すぐに
光司は 入社式を 迎えた。
『どうだった?』
『4月中は ずっと研修だって。毎日 勉強だよ。』
『じゃ 配属先とか 先輩の雰囲気とか まだ わからないね。』
『うん。ずっと同期だけで 缶詰状態だから。眠気との戦いだよ。』
『光司 居眠りしたら ダメだからね。』
『ホント。ヤバいよ。じっと座ってるんだよ。みんな 眠そうだもん。』
夜 電話で話して。
光司の 明るい声に ホッとして。
週末に 会う約束をして。
光司は まだ 実務に就いてないし。
授業が減った私は 光司の予定に 合わせられた。
一緒にいる時の 光司は 何も変わらない。
「また 海外 行きたいな。」
「うん。光司が 休み取れる時に また行こうよ。」
「夏休みかな。それなら 海がいいね。」
「わぁ。楽しみ。私 バイト頑張って 貯金しておくね。」
光司に 抱かれて眠って 朝を迎えて。
光司の環境が 変わっても
変わらない時間に 私は 安心していた。