心がわり
仕事が 本格的に 稼働し始めると
光司は やっぱり 忙しくなって
会える日が 減っていく。
先輩について 仕事を覚える日々は
自分の都合で 早く帰ることは できないし。
取引先の イベントや試食会の応援で
土・日に 駆り出されることも 多かった。
光司は 時間を見つけては 電話してくれるし。
私は 変わらない 毎日だったから。
寂しいけれど その分 バイトに 精を出していた。
私も 就職先から 正式な 内定が出て。
空いた時間には 仕事に必要な 勉強をしていた。
「まどか。前田先輩は どう?」
美香に聞かれて 私は 軽く首を振る。
「結構 大変みたいよ。最近 会ってないけど。電話の声も 疲れている時があるから。」
「私達も 他人事じゃないね。来年は そうなるんだもん。」
「そうね。今更 大学生は 楽だったなぁって 光司も 言っていたわ。」
「学校行って バイトして。就職しても 変わらないって思うけど。やっぱり 違うんだね。」
「うん。気持ちが違うって。責任感とか。バイトなら 嫌になれば いつでも 辞められるけど。仕事は そうはいかないから。」
「何か 就職するの イヤになってきたなぁ。」
「私も。このまま 大学生でいたいね。」
光司を見ていて 私は 本当に そう思っていた。