心がわり
母や光司が 言ったように
私も 少しずつ 仕事に慣れて。
就職したての 疲れが 嘘のように 余裕ができたけど。
逆に 2年目の光司は 仕事が 忙しくなっていた。
大変だと言いながら 声には 張りがあり
光司は 仕事を 楽しんでいることが 感じられた。
「これじゃ 夏の旅行も 行けそうにないよ。」
「仕事だもん。仕方ないよ。それに私も いつ休めるか わからないし。」
「まどか お札数えるの 上手になった?」
「うん。最後に ピンッていうのも できるよ。」
「すごいなぁ。今度 やって見せて。」
「いいけど。光司 札束 用意しておいてよ。」
「ゲッ。新聞紙切って 束ねておくよ。」
なかなか 会えないから 電話で話して。
たまに会えば やっぱり 楽しくて。
早く 仕事に慣れて 光司と一緒に 暮らそう。
私は 1人で 密かに思っていた。