心がわり
8月に入って 私は 久しぶりに 美香に会った。
商社に就職した美香も ようやく落ち着いて。
やっと 会う余裕かできた 私達。
「それで 銀行には 素敵な人 いないの?」
「はぁ?そんなの 見る余裕 ないわよ。」
「それもそうね。私でさえ そうだもん。で 前田先輩とは その後 どうなの?」
美香は クスクス笑った後で 聞く。
「変わらないわ。最近は 光司が 忙しくて。あまり 会えないけど。」
「まどか達 本当に 長いよね。飽きない?」
「飽きる?さすが美香。発想が 違うわ。」
私は ケラケラ笑う。
「まどかと前田先輩って 大学生の頃から 妙に しっくりきててさ。お互いに 刺激が欲しくなったり しないのか 不思議だったのよ。」
「刺激?それって 必要なの?」
「必要でしょう?まどか 前田先輩と一緒にいて ドキドキとか ワクワクとか してる?」
「ドキドキは しないけど。一緒にいると 落ち着くわ。」
「それじゃ ダメよ。前田先輩も そうなのかな?」
「どうだろう…」
「まどか。前田先輩に 浮気されても 知らないよ。」
美香の言葉に 私は ハッとする。
「ちょっと。美香 脅かさないでよ。」
「だって そうでしょう。前田先輩 カッコいいし。狙われても 不思議はないじゃない。まどか。しっかり 捕まえておかないと。時には 刺激して。」
私は いつから 光司に ドキドキしなくなったのだろう。