心がわり

フワッと 温かい笑顔で 中井さんは 私を包む。

「私。彼に 話します。ちゃんと。」


優しく頷く 中井さんに 私も 頷き返す。

これ以上 心に 嘘は付けない。


店を出ると 中井さんは そっと私の肩を抱く。

ピクッと 身震いする私に 小さく笑って。

「少し 散歩しようか。まどか。」

私は 心臓の音が 聞こえるくらい ドキドキしてしまう。


スーッと 大きく 息を吸い込んだまま

吐き出すことが できない私に

「まどか。まどか…まどか…まどか。」

中井さんは 何度も繰り返し 私の名前を呼ぶ。


「止めて…」

やっと 一言 小さく言って 私は 中井さんに 寄り掛かる。


息苦しいほどの思いに 呼吸まで 荒くなって。

胸が ドキドキして 頭が クラクラして。

私は 立っていることが やっとだった。



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