心がわり

親に 挨拶がしたいと言う 祥太を 

私は まず母に こっそり会わせた。


「まどかって 面食いだったのね。」

母が待つ レストランに 私と祥太が 入って。

挨拶が済むと 母は 私に言った。

「ちょっと お母さん。止めてよ。」

私は 照れて 顔が赤くなってしまう。


「俺も。まどかのお母さん 若くて 驚いた。」

困って 祥太の顔を見ると 祥太は 真剣な顔で言う。

「もう。ヤダ。2人とも。何なの。」

頬を膨らませる 私を 祥太は 愛おし気に 見つめる。


「フフフッ。まどかも そういう顔するんだ。なんか 安心したわ。」

「お母さん。本当に 怒るよ。」

「あのね。まどかって 案外 しっかりしてて。末っ子なのに 甘えたりしない子だったの。まあ 親としては 楽だったけど。無理に 我慢してないか 心配もあってね。でも 甘えらえる人ができて よかったわね。」


ずっと 働いている母は ハツラツとしていて 若々しい。

私の 恋愛も 頭ごなしに 叱ったりしないし。


だから 安心して 祥太を 会わせたけど。

母も 安心している様子に 私は 嬉しくなる。


食事をしながらの 会話は 和やかで。

母と祥太も 雑談が 弾んでいた。


「あの…俺。いづれ 結婚するつもりで 付き合っています。」


会話が 途切れた タイミングで 

祥太は 改まって 母に言う。

「えーっ?」

母よりも先に 私は 驚きの声を 出してしまう。


「あのねぇ。そういうことは 私に言う前に ちゃんと2人で 話し合ってよ。」

ケラケラ笑う 母を 私は 少し睨んで。


レストランは クリスマスの音楽が 優しく流れていた。





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