心がわり
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祥太を 好きという気持ちに 嘘はないけど。
今は ずっと 祥太と一緒にいたいけど。
私は 祥太を好きになったことが トラウマだった。
またいつか 自分の気持ちが 変わるんじゃないか。
こんなに好きな 祥太よりも
もっと好きな人が できるんじゃないか。
祥太と過ごす 幸せな時間に 身を任せながら。
先のことを 考えると 不安になってしまう。
付き合って 1年が過ぎた 週末。
祥太は 横浜のホテルに ディナーを予約した。
「記念日だからね。たまには 奮発。」
少し 照れた顔で 私に言う祥太。
おしゃれした私を 甘く 見つめて。
「まどか。俺と 結婚して下さい。」
食事が 終わって コーヒーが運ばれて。
祥太は 深呼吸して 私に言った。
「ありがとう。でも 私…」
祥太のプロポーズは 嬉しいけれど。
私は 言葉を探して 俯く。
「まどかの心配 当ててみようか?」
祥太は とても優しい目で 私を見た。