君がいたから
「蓮、そんなこと言うなんて
何かあったんだろ ? 」
陽翔先生の声に反応して横を見てみると
心配そうな目を俺に向ける二人。
俺が心配されるなんて………
情けなくて自分に苛立つ。
だけど二人は昔結愛と同じ
治療をしたらしいから、俺なんかより
結愛の気持ちがわかるはず…
そう思って、昨日のことを伝えた。
涙を流しながら雪に長時間打たれたこと
そのあと何も話してくれなかったこと
最後には
『蓮には私の気持ちなんてわからない』
って言われてしまったことすべてをそのまま言った。
「………蓮先生 」
話終えると、結菜さんが確信したかのような
目で俺を見る。
「…結愛は蓮先生が誰よりも一生懸命なのをわかっていたから、本当の気持ち話せなかったんだと思います」
はっきりと聞こえる声に耳を傾けながら
結菜さんの言葉の意味を考える。
だけど結愛に拒絶されたようなこと言われたから
なおさらわからない…
「あとは私が結愛の話を聞くので
陽翔も蓮先生も仕事に行って下さい」
結局、どういうことなのかさっぱり分からず
他の患者の回診や外来の時間になってしまったので結菜さんに任せることになってしまった。