君がいたから

モヤモヤが晴れないけど、
パチンと頬を叩いて切り替えて仕事をする。

命に関わる仕事だから
特に患者と接するときは集中しないと…

だけど、回診で病室の移動中や外来で患者が入れ替わるときは、ふと結愛のことが頭に浮かんでしまった。



「………はぁー 」

ひと通り回診を終えて、
午前の外来を終わらせて昼休みになった。


結愛の様子見に行こう。

結菜さんがいっしょとはいえ、昨日の精神状態を考えると心配だ。

それに、彼女とはいえ主治医でもあるから
精神的にサポートしてあげるのも俺の仕事。


この時間は食堂まで向かうスタッフや
お見舞いの人が多く
エレベーターは混雑していたのて、はや歩きで階段を上がり結愛の部屋に向かう


長い廊下を歩いて、結愛の部屋の前にきたときだった。


「私、昨日、死んだら楽になれるのかなって思ったの…」


悲しそうに震えた声が部屋の中から聞こえた。




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