君がいたから

「っ………」


死んだら…なんて結愛の口から
一番聞きたくない言葉だった。


思わず耳を塞ぎたくなったけど、
結愛がそれほどまで苦しく思いをしていたのに、俺が逃げることはできない…


ドアを3cmほど開けて部屋を覗く。


するとそこには結菜さんに抱きしめられながら涙を流している、

結愛の姿があった。



「グスン………でも、そんなことを思う弱い自分が嫌になった。 本心は生きていたい………
のに …辛くて…苦しくて逃げたくなって

それで、涙を流しているうちに体が痛くて、
雪が窓から、入っていたのに、動けなくなったの 」


小刻みに肩を震わせながら話す結愛を見て

全身に何が突き刺されたみたい痛みを感じる。


「それで、蓮にも聞かれたけど

一瞬でも死にたくなったなんて、いつも私のために治療してくれている蓮にどうしても言えなくて、それでも蓮が優しすぎるから辛くて蓮にやつあたりした 」


結愛が何も言わなかったのは
俺を拒絶していたからじゃない…

俺を悲しませないためだったんだ。


一気に涙が目に浮かんでしまったから、

手のこうで拭いた。









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