君がいたから
☆6幸せのひととき
クリスマスイブ
2週間、毎日背中から注射されて副作用にも襲われて
大変なことばかりだったけど
蓮がいてくれたから、どうにか一昨日で
最初の抗がん剤治療は終わった。
あと5日ほどでまた治療が再開されると
思うとテンションは下がるけど
今日は12月24日。クリスマスイブだ。
もうすぐ香帆と美月も来てくれるから
暗い顔する訳にもいかないし
治療や病気のことは忘れよう。
体調は良いから、お気に入りの本を読む。
そして、しばらくその物語の中に入りこんでしまっていると肩を叩かれる。
「 結愛、久しぶり 」
「結愛のことだから脱走しているかもって思ったけど
大人しくしていて良かった 」
本から視線を動かすと
いつもと変わらない様子の香帆と美月の顔が目の前にあった。
「2人ともいつの間にきてたの? 」
「5分くらい前だよ 。」
えっ!! 全然気づかなかった。
ビックリした表情で見ると楽しそうに笑う2人。
嬉しいけどいきなり笑われたから
少しだけ頬をふくらませる。