君がいたから
「嫌っ やらないの !蓮あっちいって 」
クリスマスイブに採血なんて最悪。
まばたきをしたときにでさえ
涙がこぼれ落ちる。
注射なんて慣れるもんじゃないし
入院していると
日に日に針で刺されたあざが増えていくから
ますます嫌いになっていく。
「怖いけど、これが終わったら
良いこと話してあげるから。頑張ろう? 」
「嫌なの………グスン 」
子どもをなだめるような優しい口調の
蓮だけど、私の腕を持って消毒を始める。
「刺すよ。 力抜いてね」
痛いっ………
「グスン………注射なんて………この世から無くなれば良いのに…」
精神年齢何歳だって思う発言だけど
注射嫌いなのに、
ほぼ毎日針刺されればそのくらい嫌になる。
「よしよし、痛いのによく頑張ったな 」
だけど、終わった後にこうして頭をポンポンしてくれる
優しい蓮は大好き。
安心する温もりに寄りかかる。
「可愛いやつだな 」
キュンとして頬が熱くなってしまうのがわかる。
何回言われても、大好きな人からの『可愛い』は特別だから。