君がいたから


「お待たせしましたー」


私が泣きそうになったせいで
重たい雰囲気になってしまったけど
店員さんの明るい声がこの空気をすくう


「蓮、おいしそうだね 」


店員さんが運んでくれた
パンケーキの上には雪のように白くてふわふわな
生クリームがのっていてイチゴトッピングされている。


「そうだな。食べさせてあげるからあーんして 。
結愛は軽くて心配だからたくさん食べさせないと 」


恥ずかしさもあったけど口をあけると
ふわふわとした食感の甘いパンケーキが入ってくる。

ほっぺたが落ちそう…


「おいしいっ。 蓮ありがとう 」


「じゃあ俺も食べる 」


私の口に入れたフォークでそのまま使う蓮

普通の顔して間接キスって…


「結愛、もう一回あーん ほら、」


恥ずかしくてしかたないけど、蓮の言うとおりにしてパンケーキを飲み込んだあと、

柔らかいものが唇に触れる。



「ちょっと、蓮、ここ2人だけじゃないんだから」

そんなに人はいないものの
誰かに見られたらどうするの…


「だから、このくらいで我慢した 。
というか結愛が真っ赤で可愛い顔しているからしてほしいのかと…」


「……………」


「否定しないんだ 」


だって、嬉しいんだもん。
こんなに胸が温かくなるの久しぶり。


このままずっと蓮とくっついていられたらいいのに。



だけど、楽しい時間というものは長く続かない。






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