君がいたから
「蓮、よく聞いて、
蓮もわかっているとは思うけど、この抗がん剤が効かなければ、別のを投与しても効果が見られないと思う 」
海外の白血病の治療の論文を見ても
一番効くと書かれてある薬を投与している。
だから効かないはずはない、そう信じているけど、逆に効かなかったらもうどうにもならないということ。
陽翔先生の言葉で残酷な現実を突きつけられる。
俺が絶対治す。そう誓ったのに………
「結愛………」
結愛の手を握っていだけど、だんだん震えて力が入らなくなってくる
気がつくと自分の目から涙が溢れていた
結愛の父親である、陽翔先生の前で泣くなんて、どうしようもないけど止められなかった。
「だから今、言うことじゃないかもしれないけど、もし今回効かなかったら…」
その先のことなんて聞きたくない…
深呼吸するものの落ちつかなくて、無意識
のうちに唇をかんでしまって、血の味がする。
「………抗がん剤治療は止めよう 」
「っ…………」
わかってはいたけど、大先輩で結愛の父親でもある陽翔先生からそんな言葉を聞きたくなかった。
頭の中が真っ白になり
その場に立ち尽くしてしまう。