君がいたから
「じゃあ、蓮からやっていいよ 」
そんな陽翔先生の声がした。
「ありがとうございます 」
二人より1歩だけ前に出て、
おじぎをしてお賽銭を入れ鐘を鳴らす。
結愛とずっといっしょにいたいなんてそんな贅沢なことは言わない。
結愛の病気が治って幸せになれますように
俺の願いはただそれだけ…
結愛の命を助けてほしい。
とにかく、今の治療が効果ないと危ない。
陽翔先生が考えていると思われる“最後の手段”と言われる治療もリスクがかなり高いから
どうか、どうか、抗がん剤が効きますように
手を合わせてもう一度お願いしてから後ろに下がる。
「結菜、おいで 」
すると入れ替わるように陽翔先生と結菜さんが前にきた
2人のお願いごともきっと、結愛のことだろう。
結愛のことは俺に任せることが多いけど、2人が誰よりも結愛のことを大切にしていることを知っている。
まあ、俺だって2人に負けないくらい
大切にするつもりだけど…
二人が手を合わせて、いる間、俺もそっと手を合した。