君がいたから
「あけましておめでとう 」
お参りが終わると、2人は声を揃えてそう言った。
「あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします 」
そう言うものの、大切な人が闘っているから、心から楽しくお正月を迎えることはできない。
それは2人も同じみたいで自然と神社の出口まで向かう
でも、結愛の幸せだけは心から祈っているから出る直前に神様がいる方向に頭を下げてから出た。
そしてしばらく3人で歩いて、分かれ道まできた。
「じゃあ、俺たちはこっちだから、
蓮も体には気をつけろよ 」
「はい、ありがとうございます 」
2人がいなくなると、結愛の苦しそうな顔が浮かんで涙がこみ上げてくる。
そんな中容赦なく刺すような冷気が濡れた顔にあたる。
「ダメなやつだな、俺って……… 」
守るなんて言ったのに結局俺、何もできてない。
自分のあまりの弱さに呆れるほどだけど、心細くなって涙が止まらないまま、
結愛のことを考えて家に帰った。