君がいたから
「じゃあ、明日は蓮がなんで
お医者さんになったか話してよ 」
お医者さんなんて大嫌いだけど
蓮は別だし、蓮が医者じゃなかったら
こうやって会うこともできなかった。
それに大好きな蓮のことももっと知りたいし
医者という仕事にも実は興味がある。
「いいよ その変わり逃げ出したりはしないこと 」
「そんなことしないもん… 」
「本当かな? 結愛も元気で動けそうだから
見張りの看護師増やさないとな 」
酷いことばかり言うんだから…
まあ蓮のおかげで大嫌い注射も恐怖を感じずにできたから、言い返さなかった。
その日は朝の注射以外は嫌なこともなかった。普通の半分の量だけどご飯も完食できて蓮に褒められた。
そして 次の日。
銀色のトレーを持って
笑顔で病室に入ってくる蓮。
「おはよう、元気そうだから
診察して、注射ね 」
「……………」
緊張で喋れないまま
軽い診察も終わりいよいよ注射
思わず逃げたくなる瞬間だったけど、
震える手で腕をまくる。