君がいたから
診察室に入ると蓮先生が微笑んで、
手招きしてくれる。
目の前には大好きな人の笑顔。
診察されるのは怖いけど、
1歩、1歩蓮先生の方に近づいて
椅子に座る。
「結愛ちゃん、今日はどうしたの ? 」
私の足に毛布をかけてから
優しい視線を向けてくれる先生
「……………」
小刻みに体が震えてくる。
病院に来て症状すら言えないなんて、
幼稚園児みたいだけど
口がどうしても動かない
「結愛、ここ最近、食欲無いんです。
体力も落ちているみたいだし
あと………これ見て下さい 」
代わりに症状を伝えてくれた香帆が
私のブラウスの袖をめくり蓮先生に見せる。
「あざがあるんですよ………
結愛、怪我をするようなこと
やるタイプじゃないのに 」
いつから気がついていたのかわからないけど
香帆の観察力はすごい。