君がいたから
「結愛ちゃん、今から採血するけど
少し頑張ろうな 」
「嫌………やらない。帰る」
逃げようと立ち上がる。
クラクラしていて真っ直ぐな方向に
行けないままだったけど、
その状態で走ったら、バランスを崩した。
危ないって思ったその時
蓮先生が抱きしめるようにして
受け止めてくれた。
「…蓮先生 」
ありえないほど近くに蓮先生の顔があってビックリする。
すぐに椅子に戻されるかなって思って
いたけど、体が密着したまま
蓮先生の口が開く。
「怖いかもしれないけど
俺は結愛ちゃんが心配なの。
だから少しだけ我慢しよう 」
逃げるなんて迷惑なことしたのに
それでも心配してくれるの………?
蓮先生の言葉にうなずくしかなかった。