君がいたから
「健人、大変なの、友達が喘息の発作起こしちゃって 」
美月は男の人の名前を呼ぶ。
「美月、すぐ行く 」
慌てた様子で美月が呼んだ男の人は駆けつけてきた。
「ゴホッ…美月、…薬あるから…ゴホッ
大丈夫………」
普通ならこんな状態だったら救急車
呼ばれてしまうもん。
さっき、話も聞かないで病院を飛び出したから、今はどうしても戻りたくなくて、カバンを開けて薬を取り出そうとする。
「わかった。今俺が出すから動かないで
美月はこの子の背中さすっててあげて」
「うん、結愛しっかりして 」
男の人は薬が入っているポーチを
見つけてくれて
ファスナーを開けてくれた。
苦しいけど、吸入器さえ吸えば治まるはず
と思っていると吸入器が素早く口元に当てられる。
「薬出すから吸って 」
一瞬の迷いもなく
薬が出るボタンを押してくれた。
「スー ハァ スー 」
白い粉なようなものが出てきてそれを吸うとしだいに私の呼吸は落ち着いた。