君がいたから
「何もないですが、どうぞ 」
「ありがとうございます
結愛ちゃんなんですが……… 」
リビングに通されてお茶が出される。
けど、それに口をつけるよりも先に
今日、病院で起きたことを話す。
結菜さんの目には次第涙が溜まっていく。
娘が白血病の可能性が高くて、その上今どこにいるのかわからない。
そんな状況なのに結菜さんは、強くて優しかった。
「蓮先生、わざわざありがとうございます。
あとは私と主人で探して、病院に連れて
行きますので、その時はよろしくお願いします 」
結菜さんは、震えた声で目元を拭いながら頭を下げる。
このまま戻るつもりはないけど、
もう一度、結愛ちゃんのことを探すために
家を出ようとする。
玄関まで移動した時、
俺のスマホの着信音がなる。
結愛ちゃんからだった。
『友達の家にいるから大丈夫
迷惑かけてごめんなさい…』
「結菜さん、結愛ちゃんから連絡きました。
友達の家にいるみたいです 」
見送りにきてくれた結菜さんは
安心して力が抜けて玄関に座りこんでしまった。
「結菜さん、大丈夫ですか? 」
「大丈夫です。
すみません…
あと、お願いしたいことがあるんですが、大丈夫ですか?」
「はい、どうぞ 」
いつも優しい笑顔が印象の
結菜さんが、真剣な眼差しで俺を見る。