君がいたから
「先生、ありがとうございます」
美月ちゃんに教えてもらった
通りの住所まで行ってインターホンを押すと
今日、結愛ちゃんの付き添いで診察室まできてくれた子が出てきた。
「結愛ちゃんはどこに?」
「私の部屋にいます 」
家に上がらせてもらって、
美月ちゃんの部屋まで行くと
眠っている結愛ちゃんの姿があった。
真っ赤に充血した目…
頬につたる涙の跡…
その姿を見て胸を痛める。
そっと顔を撫でてみると、熱さが伝わってくる。 雨でずぶ濡れになっていたみたいだから、熱も上がってしまったみたい。
俺は、結愛ちゃんのことを抱き上げて
車に乗せて病院に向かった。
病室まで連れて行くと、
結愛ちゃんの白くて細い腕に針を刺す。
消えてしまいそうなほど…
弱々しい結愛ちゃん。
起きるまで、ちゃんと話ができるまでそばにいよう。
結愛ちゃんの手をそっと握って待つ。