君がいたから
「はい、音は良かったから大丈夫だよ
次は喉見せて。あーんだよ」
「……………」
柔らかい笑顔のままペンライトを手に取る蓮
だけど、口を開けなかった。
昨日叫んで喉がヒリヒリ痛いし…
小さいころから風邪をたくさん引いて
病院のお世話になることが多かったから
何されるかだいたいわかっている。
「結愛、喉痛くなっちゃった? 」
黙っていたのに叱ることもなく、顔を覗きながら、そうたずねてくる。
普通なら簡単な診察くらいさっさとやるよって、
言われると思うけど、蓮は極力恐怖心をあたえないように、私のペースに合わせて話もよく聞いてくれる。
「…痛い 」
だから隠し通そうとしていても、本当のことが口から自然と出てしまう。
「そっかそっか…痛いのすぐ治すから
少しだけ見せて 」
「…うん 」
口を開けるとペンライト入れて真剣に見る蓮
「…偉かったな
だいぶ喉が腫れていたから、今から薬もってきてもらうよ 」
喉に塗る薬でしょ?
あれ染みるから嫌だよ…