君がいたから
蓮がナースコール押して3分ほどすると
髄液検査のときにいた渡辺さんがきた。
「蓮先生、もってきました 」
「ありがとう。
結愛、無理矢理はやりたくないから口開けて 」
優しいけど、必要な治療はどんなに嫌がってもやられるから、観念して口を開けた。
「いい子だね。じゃあ少し染みるけど我慢だよ 」
少しじゃなくて、めちゃくちゃ染みるって…
「ウッ…エ 」
ヒリヒリ痛くて変な声が出る。
「よく頑張ったな。
じゃあこの調子で注射も頑張ろうか 」
頭を撫でながら、鬼のようなことを言う蓮
「グスン…さっき、やらないって言ったのに 」
「まだしないって、言ったけどやらないなんて一言も言ってないから
ごめん、少し抑えてもらうな」
やらないといけないことは納得しているけど、いざ針が目の前に置かれると怖くて抵抗してしまう。
蓮もそのことはわかっているみたいだから
申しわけなさそうにしながらも、強引にやる。
渡辺さんにガッチリと固定されて背中が出るように服を捲くられた。
「すぐに終わらせるから
少しだけ我慢して 」
背中に痛みがはしり涙がボロボロあふれだす。
そして、その痛みから開放されたと思ったら今度は腕に点滴を刺される。
「痛いー やめてー グスン………
蓮のバカ… 鬼… 悪魔」
怖い思いを少しでも短くしようと
無理矢理やってくれているのはわかるけど
酷い言葉が出てしまう。