この世界から消えた君に。
「ほんっとにね〜!私は今日たくちゃんとメールしてて、機嫌良かったのに」

たくちゃんとは、香奈の彼氏。
前会ったけど、めちゃくちゃイケメンだった。

「ほんとごめんって!次は寝坊しないから」

あ〜あ、これはやばい。

「はぁ〜?次は次はって何回言ってるのよ!今日は通用しないよ!」

「香奈、少しくらい遅れてもいいじゃん」

すかさず恵美が割り込んでフォローしてくれた。
が、

「恵美は黙って。恵美は恵美でねぇ〜!食べ方汚い!」

トーストに、ガブリ着いた恵美はトーストを皿に置くと、しゅんと落ち込んでいた。

そうしたら、また私の番が来る。

この流れはいつものこと。

「紗夜、早く彼氏作りなさいよ」

「……え?」

この話が出るとは思わなくて、驚いた。

「蓮くんのこと忘れられないのは分かってる。だけど新しい出会いを探さなきゃ」

「私は……うん。そうだよね……」

私は、新しい出会いなんて要らない。そう言おうとしたけど止めた。

どうせ、否定されるから。
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