あなたに月下美人の花を……
「あれはひどいな〜。だってどう頑張っても手に入らないものだから」

「そうよ。だから私のことは諦めてちょうだい」

かぐやは愛というものにマイナスなイメージしか抱いていない。愛とは脆く儚く、遠く離れてしまうだけで、ほんの少しの亀裂で、全てなかったように壊れていくと信じている。

お弁当箱をしまい、読書を始めるかぐやだったが、月也が不意に抱きついてきた。

「僕は知ってるよ。君が臆病で愛を素直に喜べないことも。本当はダイヤモンドなんかほしくなくて、ただ僕に離れてほしいだけ。でしょ?」

月也はどれだけかぐやが冷たくしても、こうして愛を伝えてくる。最近は抱き締められることも多くなった。しかし、なぜかかぐやは月也の温もりに直接触れると何も言えなくなってしまうのだ。

それがなぜなのか、かぐやにはわからない。



それから数日、月也や他の男子を冷たくあしらいながらかぐやは学園での生活が続いた。そんな中、かぐやは祖父母に呼ばれて書斎へと向かう。

「かぐや、そこに座りなさい」
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