直球すぎです、成瀬くん


中学生の頃、告白された相手はよく知らない人だった。


知らないといってもクラスが一緒の男の子で、もちろん顔と名前は知っていた。

けれどどんな人なのかわからなくて、好きかそうじゃないかなんてわからなかった。



「……は、はい、私で、よければ…」



けれど、断ったら嫌われると思った私はそれを受け入れた。


嫌われたくない。
その思いが私は人一倍強かった。





好きかどうかわからない相手とのお付き合いは、盛り上がることはなかった。

何をするにも何を訊かれても、私は全部相手に合わせた。それが1番、穏やかにお付き合いできると思ったから。


けれどそれはきっと間違っていたのだと、3人目の相手に振られて何となく気づいた。



全てにおいて相手に合わせに合わせた結果、


『付き合ってても、楽しくないわ』


『一緒にいてもつまんない』


『何か、思ってたのと違った』


ごく数ヶ月でそう言われ、お別れしてきた。



そうだよね……そう、私と一緒にいても、楽しくなんてないよね………


自分がこんなだからとわかってはいるけれど、私は少しずつ男の子との接し方がわからなくなって、向き合うのが怖くなった。




< 1 / 132 >

この作品をシェア

pagetop