直球すぎです、成瀬くん




………幼い頃からしっかり染みついた癖は、そう簡単には治らなかった。


さっきの教室での失敗を取り返そうと、私は数回訪れたタイミングでリベンジを試みた。



……けれど、結局、いつも通り。

合わせて、笑って、頷いて。




人はすぐには変われない。


……この言葉を考えた人、すごいんだな………なんて、使いすぎた右腕をさすりながら帰った。









あの日から、早1ヶ月が過ぎた。



私の成長、これといったものはなし。


どうしても周りの反応が頭をよぎり、色々と考えてしまって、上手く言葉にできない。


………どうして、自分の気持ちを言うだけなのに、こんなにできないの……………

どうして、私はいつもこうなの…………?


変わりたいのに、それはもう強く思っているのに、勇気がないせいで、結局いつも同じ反応になってしまう………




「なあーるせえ〜、今日こそメシ食い行こーぜ」

「うるさいうざい行く気ねぇ」

「んだよ今日もそんな感じなのー?」



……私も、ここまでとはいかなくても、せめて自分の気持ち、ちゃんと言えるようになりたい………


放課後、ホームルームを終えて賑やかになった教室に、一際明るい声で颯爽と隣の席にやって来たのは宮城くん。

成瀬くんの冷えた言葉に、宮城くんは困ったように下唇を突き出した。


「ねーゆずゆずからも言ってよ、いい加減俺とデートしてやってって」

「……っえ、わ、私………?」

「宮城てめー黙ってろ」

「おーこえぇ〜、そんな、ゆずゆずにちょーーっと声かけたくらいで怒んなって」

「別に怒ってねぇ」

「じゃ、メシ行こ?」

「行かねーっつったろ」


ええぇ〜と食い下がる宮城くん。

相変わらずの、鋼のメンタル…………




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