直球すぎです、成瀬くん
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「っも、百叶……っ」
「……あ、柚…!」
急いで昇降口に向かうと、そのすぐ向かいにあるホールに置いてあるベンチに、その姿があった。
………ま、待っててくれたんだ………
嬉しさ半分、申し訳なさ半分。
すぐに声をかけて駆け寄ると、私に気づいた百叶は心配そうな顔で私を見上げた。
「大丈夫?」
「う、うん、ごめんね…」
「私はいいんだけど……成瀬くんと、何かあった?」
「っな、何でもないよ…大丈夫」
首を横に振ると百叶は少しの間、私をじっと見つめた。
「……ん、じゃあ、帰ろう」
「…う、うん」
……さ、さっきのは、何もないって言っても、いいよね………?
靴を履き替える百叶を見ながら少しモヤモヤした気持ちが胸の中に浮かんだけれど、それを追い払うように、私も靴を履き替えた。
「ゆーず、何してんの〜?早くおいでよ〜っ!」
「…っあ、う、うん……」
………ど、どうしよう…………
翌日、午前中の授業が終わり、いつものように4人で集まってお弁当を食べようというタイミングで、ポケットの中のスマホが震えた。
何だろう、と思い取り出して画面を見ると、LINEの通知が1件入っていた。
…誰だろう、お母さんかな……?
そんなことを考えながらLINEを開くと、飛び込んできたそのメッセージに思わず目を見開いた。
【今から物置来い】
……っな、成瀬くん…………!?
し、しかも、今からって………!
慌てて左隣を見ると、そこにその姿はない。
…う、嘘………さっきまでいたよね………!?
空っぽの成瀬くんの席を呆然と見ていると、向こうからまりなちゃんの明るい声が飛んできた。