直球すぎです、成瀬くん




「遅ぇ」

「…っす……すみま、せん………」



走ったせいで息は乱れ、おまけに走ったせいで、廊下を走るなと先生から注意を受けてしまった。



肩で息をしながら、成瀬くんを見る。窓際に置いてある椅子に座り、優雅に足を組んでいる。


「……っあ、の……き、今日は…何でしょうか……?」



……まさか、また私が無意識のうちに、成瀬くんをムカつかせてしまった……とかじゃ、ないよね………?


ビクビクしながら、成瀬くんの言葉を待った。




「今日からおまえ、俺の前では好き勝手言うこと」


「………え……?」

「おまえぐらい癖染みついてるやつ、急に友達の前で好きに自分の気持ち喋れっつったって、どーせ卒業まで無理だろーし」

「……っな……、」


口を開いたかと思えば、急にそんなことを言い始める成瀬くん。その表情は今日も、ほんの少しも変えないまま。


「昨日みたいに、俺にだったら思ったことそのまま言ったって、別に言ったこと後悔したり頭ん中でアホみてーにぐちゃぐちゃ考えなくていいだろ」


………そ、それは、そうだったけど……


「あいつら…特に西内みたく付き合い長くねーし仲良くもねーし、そういうやつの方が、おまえのリハビリにはちょーどいんじゃねーの」

「……」

「俺にだったら別に、どう思われようがヘーキだろ」


そう言ってその長い足を組み替えると、私をじ、と見た。



……た、確かに、百叶はもちろん、まりなちゃんに玲可ちゃん…仲良くなってる分、余計に言いづらいのはうっすら感じていた。

変えようとしたけれど全然思うようにできなくて……




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