直球すぎです、成瀬くん




…でも、成瀬くんなら、そんなによく知らない相手だし……もしかしたら昨日みたいに、ちゃんと自分の思ったこと、少しは気にせずに言えるようになれるかもしれない………!


………でも、い、いいのかな………昨日のは、ついカッとなってしまって思わずあんな風に言っちゃったけれど……いくら成瀬くんでも、よく知らないクラスメイトに……


「ごちゃごちゃ考えんのやめろって」

「っ、!」


頭の中、ぐるぐると考えていたところに差し込んできた声。

成瀬くんはため息を吐くと、背もたれに体を預けた。


「俺の前では余計なこと考えない。言いたいことも思ったことも全部言う。我慢すんな」

「っ、」



……ど、どうして成瀬くん………私にそこまで……



「ハイは?」

「……っえ、」

「返事」

「…っは、はいっ」


声のトーンが少し怒り気味に聞こえて、私は慌てて返事をする。


それを聞いた成瀬くんは無言で立ち上がると、そのまま近づいてくる。

……お、怒られる………?

思わず目をぎゅっと閉じていた。



「よくできました」

「……っえ…」


ぼそりと、すれ違いざまに聞こえた言葉。

そのまま教室を出ていった成瀬くんの背中を、思わず目で追ってしまっていた。


単調なのにどこか少し柔らかみのあった声に、私はしばらくそこから動くことができなかった。





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