直球すぎです、成瀬くん
……そっか、立派な理由がなくても、いいんだ…
それに気づけただけなのに、私の心は、少しだけ軽くなったような気がした。
「…百叶たちとなら、何をしてても楽しい…それは間違いないのに、私、どうして今まで…」
「おまえ、楽しいか楽しくないか、自分でわかんねーもんな」
「…え……」
咄嗟に隣を見ると、その言葉の主はスマホの画面を見たまま。
「……何」
私の視線にようやく気づいたのか、スマホから目線をこちらに向けた成瀬くん。
「…あの、それは……一言、多い気がします…」
一瞬、お、という口になったかと思いきや、スマホをカウンターに置くと完全にこちらを向いた。
「じゃ、どう、楽しいですか、今」
頬杖をつきながら私に問うその表情は、僅かに面白がっているよう。
「…た、楽しい、です…」
その視線から逃れるように最後の一口のジェラートを口に入れると、その瞬間、隣から小さな笑い声が聞こえた気がして、反射的にまた成瀬くんを見てしまった。
「何か、言わされてる感半端ねー」
「…っ、!」
両方の口の端が上がっていて、少し目元も緩んでいて………成瀬くんのそんな表情、初めて、見た……………
それを見た私も、いつの間にか、口角が上がってしまっていた。