直球すぎです、成瀬くん
「あ、同じクラスの百叶。こっちは柚」
玲可ちゃんがお辞儀をしたのに続いて、まりなちゃんが私たちをお母さんに紹介してくれる。
「はじめまして、西内百叶です」
「は、はじめまして、宮藤柚です…!」
「はじめまして、いつもまりながお世話になってます」
お辞儀をすると、にっこりと微笑んだまりなちゃんのお母さんは「さあ上がって上がって」と促した。
まりなちゃんに続いて彼女の部屋に案内されると、玲可ちゃんはぐるりと部屋を見渡した。
「変わってないね、全然」
「うん」
「てかよかったの?クリスマスパーティー、家族でやるんじゃなかったの?」
部屋のドアを閉めるまりなちゃんにそう訊いた玲可ちゃん。
「あ、いいのいいの、今日はやんないから」
「そうなの?」
「うん、今日パパ帰り遅いし、お姉ちゃんも彼氏と会うからって今年も帰ってこないし。明日3人でやるからいいの」
「まりなー、開けるよー?」
不意にノックの音とドア越しに声が聞こえて、お母さんが顔を覗かせた。
「ジュース、オレンジしかなくてごめんね〜」
「い、いえ、そんな、お構いなく…!」
「ママありがと〜」
「何か作ろっか?食べたいのあれば…」
「大丈夫、どっか頼むから〜」
「そう?何かあったら言うのよ」
じゃあ楽しんでいってね、と笑顔を残して、お母さんは部屋を出ていった。
「あホラ2人とも座って座って!食べたいの頼も〜!」
既にカーペットの上に座っていた玲可ちゃんに対し、未だ鞄を持ったまま立っていた私と百叶に声をかけると、まりなちゃんはスマホを取り出し検索を始めた。