直球すぎです、成瀬くん
ぐわんぐわんと玲可ちゃんの両肩を前後に揺らすまりなちゃんの肩を叩き、なだめる百叶。
「っ百叶もね!?そーんな綺麗なお顔して、ど〜せ彼氏の1人や2人いるんでしょう!?」
「いや2人いたら二股じゃん、百叶そんなことしないよ」
「玲可は静かにしてて」
「あい」
今度は百叶をロックオンしたのか、視線は完全にそちらに向いている。
「で、どこのダレ?百叶の彼氏なら大学生のハイスペイケメンでしょ!?」
「え…いや…」
「何なら彼氏の友達紹介してよ!!」
「わ、私、彼氏いないよ…」
「………え…?」
恐る恐る言った百叶の言葉に、まりなちゃんはフリーズしてしまった。
「……え、いないの…?」
「う、うん、いないよ」
再度頷いた百叶を見て、わかりやすく落ち込むまりなちゃん。
「いそうなのにねー…あでも、高嶺の花で男子近寄れないパターンか」
玲可ちゃんは、残っていた最後の一切れのピザを自分のお皿に移すとそう言った。
「あ〜確かにね、大人っぽいし、しっかりしてるし勉強もできちゃうし。そこらの高校生には手が届かないか〜」
「そっ、そんなことないよ…!」
顔の前で必死に手を振る百叶に「でもすぐ彼氏できそうだけどね」と玲可ちゃん。
「すぐできそうといえば柚もじゃん?彼氏とか、好きな人いないの!?」
「えっ……」
今度は私に視線を向けたまりなちゃん。
あまりにキラキラした目を向けられてしまって、何だか申しわけない気持ちになった。
「…わ、私は、そういうのは、いいかなぁ……って」
「え〜何で!?可愛いのにもったいないよ!」
「そっ、そんな、可愛いなんてとんでもない…!私は、全然……」
「無自覚なだけで実はモテてるパターンあるよね」
「えソレ大アリ!!」
楽しくない。
つまんない。
思ってたのと違う。
中学の時に言われた言葉は、まだ私の中にずっとあって……
恋愛なんて、もう当分無理だろうな……
盛り上がる3人を見ながら、そんなことを思った。