直球すぎです、成瀬くん
その内容とは、4月末にある学力試験に向けて2泊3日でみんなで勉強しましょうという、交流会とはほど遠そうなもの。
試験対策をしつつ1年生同士の交流を図るというのが目的みたいだけれど、あくまでメインは勉強。
しかし名前は、学年交流会。
入学早々であまり気乗りしないイベントだなぁ……
学校説明会の時にもふわっと聞いていたし、入学してすぐの行事として何となく認識はしていたけれど、まさかここまでしっかり勉強メインとは思ってもいなかった。だって名前に〝交流会〟ってついてるし……
詳しい内容を聞いて驚いたのは私だけじゃなかったみたいで、教室各方面からえーとかやだーとか、口々に生徒が声を上げた。
「センセー、まじで勉強ばっかなんですか?」
「そうですよ、試験対策で行くんだから。みんなで1つの目標に向かって勉強するのも交流の1つよ、教えたり教わったり、これだって立派な交流じゃない」
ソレ交流って言わなくねー、と誰かが苦笑した。
行事って何だろね〜と盛り上がっていた教室の雰囲気も、気づけば一気に落ち着いていた。
「来週の月曜までに参加申込のプリント提出だからね、忘れないように」
いいね?と念押ししながら、先生は黒板上の時計を振り返った。
「今日話すことはこれで終わりなんだけど……微妙に時間余っちゃったなぁ」
先生は顎に手を当てて少し考え込んだ。
「……ん、いいや、残りの時間は自由にします。喋るなり寝るなり自由!」
その言葉を聞いた途端、若干沈んでいた空気が僅かに動いた。主に男子がおお、と声を上げる。
ただし騒がないこと、他のクラスまだ授業中だからねと、しっかり釘を刺した先生はそのまま教室を出ていった。
はーいの返事と同時に立ち上がる男子たち。それぞれが仲のいい友達同士で集まって、さっそく雑談を始めた。
「ゆーず」
不意に声が聞こえて、見ると百叶の姿。
「…何か、思ってたのよりも大変そうな感じだね」
百叶もあんな内容とは想像していなかったのだろう、眉尻を下げて困ったように笑っている。
「…うん、まさか勉強しに行くとは思わなかったよね、私もびっくりした」
「入学早々お勉強合宿かー、しかも2泊3日って長くない?」
「うん、長いよね…大丈夫かなぁついていけるかな……」
まー頑張るしかないよね、といつものように切り替えた百叶につられて私も頷いた。
2週間後、頑張らなきゃ………