直球すぎです、成瀬くん




「………」

「…………」

「………何」

「っひ、え、あっ、と……」





百叶には先に昇降口に行ってもらい、私は放課後の教室で、例のあの人の席の前に立っている。


その本人を目の前にした途端、妙な威圧感、というか近寄るな話しかけるなオーラが尋常じゃない彼に、謝罪の言葉が上手く喉から出てこない。


何とか勇気を振り絞って、帰ろうと席を立ちかけたところを呼び止めたのだが、あまりの空気感に頭が真っ白になってしまった。



「……んだよ、用ねぇなら話しかけんな」


低い声が聞こえて、同時に彼が席から立ち上がった。


「っあ、あの……っ」


このままだったら、頑張って呼び止めた意味がなくなる……咄嗟に声が出た。


立ち上がった彼はその場で私をじ、と見下ろした。

刺さった視線が痛くて、私の目線は徐々につま先へ下りていく。


……が、頑張れ私………ちゃんと、謝る、誠心誠意謝罪して、許してもらう………



意を決して、顔を上げた。

彼の鋭い眼が刺さって、一瞬足がすくんだ。



「……あ、あの、昨日………きっ、昨日は、大変、し、失礼なことを……ご、もっ、申し訳ありませんでした………!」



心臓がこれまでにない速度で鳴っている。耳の奥まで音が響く。


膝に額がつくくらいに下げた頭は、体中の血液が集まってくるかのようにどんどん熱くなった。



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