直球すぎです、成瀬くん



「………ひ、火起こしやっぱり大変そうだね…」

「そ、そうだね……」


突然やってきてまたすぐに行ってしまった2人の背中を見ながら、百叶は声を漏らした。



「…あ、西内さん!玉ねぎこれ全部?」

「…あ、ああ、うん、そう。他に切るものあったらやるから、持ってきてもらってもいい?」

「おっけー!ありがとう、これ持ってくねー」


同じクラスの女子が百叶に声をかけて、綺麗にカットされた玉ねぎを持って行った。




その後も、追加された食材を2人で手分けして、ひたすら切ること30分ほど。


「…あ、何かいい匂いしてきた」

「……ほ、ほんとだ……!」


準備もほとんど終わり、テーブルの上を片付けていたら、辺りからお肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。


「はいじゃあみんな好きな席座ってー!」


先生のよく通る声が響き、私は百叶と近くの空いている席に座った。



「はい、2人ともオレンジジュースでいい?」

「あ、うん、ありがとう」

「ありがとう…!」


同じテーブルにいた女子が、ジュースの入った紙コップを手渡してくれる。


「はい、ではみなさん、2日間勉強お疲れ様でした!今日はみんなでバーベキュー楽しんでください!カンパーイ!」

「カンパーーーイ!!」


お疲れー、お疲れー、と言葉を交わしながら、みんなジュースを喉に流し込んでいく。

私も、お疲れ様です、と声をかけてジュースを口に含んだ。


「あっ、いたいた百叶!柚!こっち席空けといたよ〜!こっち来て!」

「あ、ほんと?ありがとう!柚、行こ」


…同じテーブルの女子がせっかくジュースを渡してくれたのに、いきなり席を離れるなんて失礼じゃ…と目を向けると、もう席移動をしてしまったのか、さっきまでそこに座っていた女子の姿はなかった。


「…う、うん…!」


私は百叶のあとについて、まりなちゃんたちの元へ向かった。


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