直球すぎです、成瀬くん



「で、まりなは宮城くん狙いなの?」


同じく宮城くんを見ていた玲可ちゃんが不意に訊いた。


「イケメンは好きだけど、宮城くんは鑑賞用かなあ〜〜」

「ナニソレ」

「万人にモテるタイプの男の隣に立つのって苦労が尽きなさそうじゃん?あたしはもっと、イケメンでありながらも、女はあたしだけにしか興味ありませんってヒトがいいの!」

「そんな人いる?」

「いるよどっかに」

「少女漫画の読み過ぎじゃない?」

「それはあるかも」

「あるんだ」


笑い合うまりなちゃんと玲可ちゃんの会話を横で聞きながら、確かに、宮城くんは誰とでもあんな風に笑って話せる人なんだろうなと思った。

周りにたくさん人がいるのが、あんなに似合うんだもん。



…そうだ、交流会の時もそうだった。

成瀬くんがどこかへ行ってしまったあとすぐ、他の誰かに呼ばれてその輪の中に一瞬で消えてしまっていた。


……私みたいな人間からすれば、遠い人だなぁ…………


そんなことを考えながら、私は応援団パフォーマンスの方に体を向け直した。





3年生のパフォーマンスも終わり、応援団組は解散してぞろぞろとそれぞれの場所へと戻っていく。


先ほど話題になった宮城くんは隣のクラスらしく、後ろの方で話し声が聞こえた。

私はつい、その声の主の会話に聞き耳を立ててしまっていた。



「あれ(れん)、何見てんの?」


宮城くんは誰かに話しかけたようで、私は思わず、そっと後ろを振り返った。


「っ、!」

「………」


宮城くんが話しかけていた、蓮と呼ばれたその人は、私と目が合うと、眉間に皺を寄せてすぐに目を逸らした。



………な、成瀬くん…………!?


……と、目を合わせてしまった……………



成瀬くんが蓮という名前だと知らなかったとはいえ、うかつに振り向いた私がいけなかった………

思い切り睨まれたような気がするし、私の顔なんてもう見たくもないであろう成瀬くんの視界に入ってしまったなんて…………



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