直球すぎです、成瀬くん
「んー?……お?」
宮城くんは、振り返ったまま硬直している私に気づくと、焼けた肌によく映える白い歯を見せた。
かと思ったら、成瀬くんを引っ張り無理矢理立たせると、そのまま引きずるように連れて来た。
「ナニ、蓮のトモダチ?てかおまえ俺以外にトモダチいたんだ?」
「………」
「否定しないってことはそーゆーことね」
「…うるせえよちげーよ」
突如現れた宮城くんに、周囲の視線が一気に集まる。
………な、何、この状況…………!?
「ね、えーと柚ちゃん、だっけ?」
「えっ…」
な、どうして、私の名前…………?
「隣が百叶ちゃんと、まりなちゃんに玲可ちゃんだよね?」
「えっ、えっ」
私と同様に、まさか名前を呼ばれると思っていなかった百叶たち3人も、それぞれが驚いたように宮城くんの顔を見上げた。
「喋んの初めてだよね?3組の宮城一馬っていいまーす、よろしくね」
人懐こい目を細めたかと思ったら、宮城くんは、その隙に逃げようとした成瀬くんの腕を捕らえた。
「まだ話してる途中なんだけど?」
「俺別に関係ねーだろ」
「大アリだろ、ぼーっと見てたやつが何言ってんだよ」
「別に見てねえ」
目の前で繰り広げられる2人の会話に、私たち4人は、ただただ黙って見上げることしかできない。
「で、トモダチなんでしょ?」
ね?と首を傾けながら、宮城くんは嬉々とした表情を私に向けた。
「………え、っと……………く、クラスメイト、です………」
本当はクラスメイトと答えるのも申し訳ないけれど、他にどう表現したらいいのか浮かばなくて、凡庸な言葉しか出てこなかった。
「え、何ソレ、クラス一緒なら友達じゃん?」
振り絞って答えた言葉に、目の前の宮城くんはきょとんとした顔でそう言った。
「あ、コイツね、いつも不機嫌そーにコワいカオしてっけど、可愛いトコあるからさ。クラスメイト、とか他人事みたいに言わないで仲良くしてやってよ」
「うるせえ余計なこと言うな」
宮城くんの言葉に、不機嫌そうだった表情をさらに濃くした成瀬くんは、掴まれていた腕を払うとどこかへ行ってしまった。
「……あ〜ゴメンね急に話しかけちゃって、じゃまた〜」
手をひらひらさせて、宮城くんもそのままどこかへ行ってしまった。